プロクター・アンド・ギャンブル(以降、P&Gと呼ぶ)の最新の現状を調査します。

企業概要

1.P&Gは、1837年創業の日用消費財製造世界最大手の1社である。年間売上高はおよそ700億ドルに上る。

2.アリエール(洗濯用洗剤)、ハーバルエッセンス(シャンプー)、パンテーン(シャンプー)やパンパース(おむつ)など高い知名度のブランドを有しています。最後まで保有していた食品ブランドのプリングルズ(ポテトチップス)は2012年にケロッグに売却しました。

3.連結売上高のおよそ55%を事業拠点を置く米州以外の地域が占め、また、新興国市場がおよそ同売上高の3分の1を構成している。

4.P&Gは独自の販売チャネルを持たずスーパー、薬局、ベビー用品店など他社の小売経路を利用しています。中でもウォルマートによる売上高が、全体の約15%を占めています。

P&Gとその子会社が持つブランドは驚くほど多く、日本でも馴染みの商品名がズラズラと並びます。聞いたことのあるブランド名を5つの部門別に並べてみると

  • ビューティー部門:ハーバルエッセンス、パンテーン、SK-Ⅱ
  • グルーミング部門: ブラウン、ジレット
  • ヘルスケア部門:crest、オーラルB、ヴィックス
  • ファブリック&ホームケア部門:アリエール、ファブリーズ、ジョイ
  • ベビー・フェミニン・ファミリーケア部門:パンパーズ
P&Gのホームページに掲載されているブランド名は、全部で54に及びます。

5つの部門別の売上割合(P&G HPより)

  • ファブリック&ホームケア部門:33%
  • ベビー・フェミニン・ファミリーケア部門:27%
  • ビューティー部門:19%
  • ヘルスケア部門:12%
  • グルーミング:9%

ファブリック&ホームケア部門及びベビー・フェミニン・ファミリーケア部門で全体の60%を占めています。

これらは洗剤、消臭剤、おむつ、生理用品、ティッシュなど、正に今回のコロナショックによる巣篭もり生活で必要となったものばかりです。

大陸別売上割合(P&G HPより)

  • 北米:45%
  • ヨーロッパ:23%
  • アジア、オセアニア:10%
  • 中国:9%
  • インド、中東、アフリカ:7%
  • 南米:6%

北米が45%でその他が55%と世界中で販売を行っており、中でも中国が単独で9%と大きな割合を占めています。

直近及び過去3年各数値指標

2019年にEPSが激減していますが、これは2019年にジレットに関しての会計処理により純利益が激減したことの影響です。その他の売り上げやキャッシュフローは問題なく増加しています。

営業キャッシュフローマージンも20前後で安定して推移しており、経営に特に問題はないようです。

また、毎年少しずつ自社株買いも行っています。

四半期業績推移 ~2020-Q2

2020年3月の第2四半期の売上、利益は微減ながら大きな変動ではありませんでした。第3四半期の決算ではコロナショックの影響が売り上げにプラスなのかマイナスなのか注目です。

業績推移と配当推移

2019年の純利益が減少している以外は、問題はないようです。キャッシュフローに関して投資、財務がマイナスですが、結果フリーキャッシュフローはプラスで安定しているので問題には見えません。

連続増配実績は、62年の超優等生で今後も続いていくように思えます。

過去5年間の株価

過去5年間株価は微増状態で推移してきて、2019年から大きく上昇しています。コロナショックによる減少は一時的と思われましたが、ここ1ヶ月再び減少しているのが気になります

総評

ジョンソンエンドジョンソン(JNJ)と共に、私の保有している銘柄の中ではトップの優良株です。

何と言っても有名ブランドを多数持っているのが強みです。そして人気のないブランドは売却し、人気の高いブランドを購入するという戦略は成功しているように思えます。

又、販売店舗を直接持っているわけではないので、今回のアメリカ国内のロックダウンの影響も限定的と思われ、むしろ巣籠自粛生活により生活必需品の売り上げが上昇しています。

生活必需品セクターなので、大きく株価が上昇するようなことは期待できませんが、3%前後の配当が期待でき、保有株の基準として私自身JNJと共に売却することは、ないであろう銘柄です